親子で一緒に「カルピス」づくり

私たちの研究調査の結果、親子で一緒に「カルピス」をつくって飲むことで、親子間のコミュニケーションが深まり、お子さまの心にさまざまな変化が生まれることが分かってきました。
最近の慶応義塾大学との共同研究では、大切な人のための「カルピス」づくりを通じて、お子さまの心に「大切な人を想う“気持ち(愛情)”」が育まれることを実証しました。

「カルピス」づくりの経験と現在の「心の健康度」

幼少期に「カルピス」を家族や友だちとつくって飲んだ経験のある人は、大人になってから“近親者の支え”や“至福感”などを感じ、“心の健康度”が高いことが明らかになりました。

研究調査から見えてきたこと

一緒に作った経験と 心の健康度

友達と一緒につくった経験
家族と一緒につくった経験
  • 対象者:18〜24歳学生男女400名(幼少期に「カルピス」飲用経験のある人)
  • 調査期間:2011年11月9日〜11日  調査機関:株式会社ジェイ・エムーアール生活総合研究所
  • 調査方法:WHO SUBIによるインターネットアンケート調査(現在の心の健康度を調査)

親子で一緒につくった時のお子さまの「心の変化」

さらに研究を深めるために・・・
親子で一緒に「カルピス」をつくる経験を重ねることによってお子さまの行動や発言にどのような変化があるのかを調べました。

1回目

つくることには興味をしめさない。お母さんに言われてつくってみる。

2回目

おいしくつくるために、いろいろとチャレンジしてみる。

3回目

お母さんに飲んでもらいたくて自分でつくろうとする。

子供の行動を評定しました

子どもが親と一緒に「カルピス」をつくることを楽しみ、夢中でとりくんで、成長する様子がうかがえました。

  • 対象者:16組の親子※それぞれ計3回観察。
  • 調査期間:2013年8-10月(当社調べ)
  • 幼児期前期(3歳児)、幼児期後期(5歳児)、児童期前期(小学生1,2年生)、児童期後期(小学校4,5年生)。

笑顔やうれしさあふれる親子の活動

  • 対象者:16組の親子※それぞれ計3回観察。
  • 調査期間:2013年8-10月(当社調べ)
  • 幼児期前期(3歳児)、幼児期後期(5歳児)、児童期前期(小学生1,2年生)、児童期後期(小学校4,5年生)。

ママに聞いてみました

Q.「カルピス」を親子でつくることで期待されるメリットは?

子どもが自分で考える力が伸びる(10%) 子供の思いやりの心が伸びる(6%) 子どもの成長が見える(6%) その他(14%)

  • 2014年当社調べ(n=149)

他の活動と比べてみました

親子で一緒に行う調理、お絵かき・工作と比べて、親子で「カルピス」を一緒につくって飲む活動は、子どもが自分で考える力や人を思いやる心を育む上で優れていることを示唆する結果が得られました。

自分で考える力に関する項目

子どもの様子

親の意見を聞き入れた上で自分のやり方による取り組みが見られたか。

人を思いやる心に関する項目

子どもの様子

親のことを思いやった発言や行動が見られたか。

  • グラフのスコアは、1から4までの区分による回答の平均値
    (1:まったくそうではない、2:あまりそうではない、3:ややそうだ、4:とてもそうだ)

出展:小谷恵ほか、日本発達心理学会第26回大会(2015)

親子で「カルピス」体験に挑戦してみました

「カルピス」づくりの経験を重ねることで、子どもたちの行動や発言にどのような変化が起こるのか、動画でご覧ください。

専門家に聞いてみました

子どもの自立は究極の子育ての目標です。しかし、子どもは始めから自立はできません。というより、最初は逆に、親と一緒に活動したがります。受け入れられ、面倒を見てもらってできたことは次第に、必ず自分で、自立的にやりたがるようになっていくのです。そして、自分が親やきょうだい、友だちなどにやってあげられるとき、子どもは親から面倒を見られてできたことが確実に身につきます。そして、無上の喜びと自分を褒めてあげたくなる自尊感情の高まりを通して、次の新しい活動への積極的な意欲が涌いてくるのです。
特に、科学的・論理的活動が詰まった調理活動は、複雑で時には危険を伴うこともあり、子どもにとっては手を出しにくい領域ですが、自分が準備するということはとても嬉しく、かつ、子どもの自立意欲の喚起や知的発達に大いに貢献することがわかっています。しかも、親子のやりとりを通して、自分の成果をきちんと他人に自己表現していく能力や、きちんと他人の言うことを受容できる態度といった社会力も育つのです。
希釈タイプの「カルピス」を親子で共同作製・飲用する体験は、子どもが気軽に手を出せ、親も安心して任せられる側面があり、入門的な、しかし、しっかりと子どもの成⻑・発達に貢献できる稀有な親子共同調理活動であり、大いにお薦めしたい優良活動です。

田島 信元 先生
<プロフィール>
白百合女子大学 生涯発達研究教育センター 特別研究員
白百合女子大学 名誉教授、東京外国語大学 名誉教授
東京大学大学院教育学研究科教育心理学専攻修士課程修了。博士(人間科学)。
⻑年、乳幼児の発達についての研究と提言を続け、国内外でさまざまな幼児教育調査を実施。

「カルピス」づくりによる愛情への影響

大切な人(親)のために「カルピス」づくりをすることを通じて、「大切な人を想う“気持ち(愛情)”」に
どのような影響があるのかを調べました。

慶應義塾大学の満倉靖恵先生(理工学部教授/医学部精神・神経科学教室兼担教授)の協力のもと、子どもが自分のために「カルピス」をつくった時と、お母さんやお父さんのためにつくった時の唾液中に含まれるオキシトシンの濃度を比較しました。その結果、自分のために「カルピス」をつくった時よりも、お母さんやお父さんのためにつくった時のほうが、より多くのオキシトシンが分泌されることが分かりました。
大切な人(親)のために「カルピス」をつくるという一連の行為を通じて、子ども(未就学児)の心に「大切な人を想う“気持ち(愛情)”」が育まれることが示唆されました。

  • オキシトシン:愛情ホルモンや絆ホルモンとも呼ばれるホルモン物質。血液や唾液を分析することにより分泌量を定量する。
  • 調査期間:2018年3~5月
  • 実施場所:保育園(神奈川県横浜市)
  • 対象者:幼児期後期(5~6歳) 12名
  • 使用機材:オキシトシン測定キット(Enzo ADI-900-153A)
  • 調査方法:「カルピス」づくりを対象者が自分のためにつくる場合と親のためにつくる場合の2つの条件で実施。
    「カルピス」づくりの直後に、対象者から唾液を採取。続いて唾液中のオキシトシンの分泌量を分析し、条件ごとのオキシトシンの分泌量を比較。なお、各条件を実施する順番は対象者ごとに変えてランダム化。

さらに、子どもが一人で「カルピス」つくった時と
他の人がつくる様子を見ている時での達成感の度合いを比べました。

子どもが「カルピス」を一人でつくった場合と、他の人がつくる様子を見ていた場合の脳波をそれぞれ測定し、達成感を数値化しました。脳波解析の結果から、他の人が「カルピス」をつくる様子を見ている時よりも、一人で「カルピス」をつくった時に、「できた!の気持ち(達成感)」が高まることが分かりました。

  • ※ 脳波解析:満倉教授と(株)電通サイエンスジャムが共同開発した、人の脳波から感性を簡易に分析できる感性アナライザを使用。
    「カルピス」づくりを終えた直後の脳波を測定し、達成感を比較。
  • 調査期間:2018年3~5月
  • 実施場所:保育園(神奈川県横浜市)
  • 対象者:幼児期後期(5~6歳) 28名
  • 使用機材:感性アナライザ(電通サイエンスジャム社製)
  • 調査方法:「カルピス」づくりを、対象者が自分でつくる場合と他の人がつくる様子を見ている場合の2通りの条件で脳波を測定し、達成感を比較。
    なお、各条件を実施する順番は、対象者ごとに変えてランダム化。