私たちの研究調査の結果、親子で一緒に「カルピス」をつくって飲むことで、親子間のコミュニケーションが深まり、お子さまの心にさまざまな変化が生まれることが分かってきました。
最近の慶応義塾大学との共同研究では、大切な人のための「カルピス」づくりを通じて、お子さまの心に「大切な人を想う“気持ち(愛情)”」が育まれることを実証しました。
幼少期に「カルピス」を家族や友だちとつくって飲んだ経験のある人は、大人になってから“近親者の支え”や“至福感”などを感じ、“心の健康度”が高いことが明らかになりました。
さらに研究を深めるために・・・
親子で一緒に「カルピス」をつくる経験を重ねることによってお子さまの行動や発言にどのような変化があるのかを調べました。
子どもが親と一緒に「カルピス」をつくることを楽しみ、夢中でとりくんで、成長する様子がうかがえました。
Q.「カルピス」を親子でつくることで期待されるメリットは?
子どもが自分で考える力が伸びる(10%) 子供の思いやりの心が伸びる(6%) 子どもの成長が見える(6%) その他(14%)
親子で一緒に行う調理、お絵かき・工作と比べて、親子で「カルピス」を一緒につくって飲む活動は、子どもが自分で考える力や人を思いやる心を育む上で優れていることを示唆する結果が得られました。
親の意見を聞き入れた上で自分のやり方による取り組みが見られたか。
親のことを思いやった発言や行動が見られたか。
出展:小谷恵ほか、日本発達心理学会第26回大会(2015)
「カルピス」づくりの経験を重ねることで、子どもたちの行動や発言にどのような変化が起こるのか、動画でご覧ください。
子どもの自立は究極の子育ての目標です。しかし、子どもは始めから自立はできません。というより、最初は逆に、親と一緒に活動したがります。受け入れられ、面倒を見てもらってできたことは次第に、必ず自分で、自立的にやりたがるようになっていくのです。そして、自分が親やきょうだい、友だちなどにやってあげられるとき、子どもは親から面倒を見られてできたことが確実に身につきます。そして、無上の喜びと自分を褒めてあげたくなる自尊感情の高まりを通して、次の新しい活動への積極的な意欲が涌いてくるのです。
特に、科学的・論理的活動が詰まった調理活動は、複雑で時には危険を伴うこともあり、子どもにとっては手を出しにくい領域ですが、自分が準備するということはとても嬉しく、かつ、子どもの自立意欲の喚起や知的発達に大いに貢献することがわかっています。しかも、親子のやりとりを通して、自分の成果をきちんと他人に自己表現していく能力や、きちんと他人の言うことを受容できる態度といった社会力も育つのです。
希釈タイプの「カルピス」を親子で共同作製・飲用する体験は、子どもが気軽に手を出せ、親も安心して任せられる側面があり、入門的な、しかし、しっかりと子どもの成⻑・発達に貢献できる稀有な親子共同調理活動であり、大いにお薦めしたい優良活動です。
慶應義塾大学の満倉靖恵先生(理工学部教授/医学部精神・神経科学教室兼担教授)の協力のもと、子どもが自分のために「カルピス」をつくった時と、お母さんやお父さんのためにつくった時の唾液中に含まれるオキシトシン※の濃度を比較しました。その結果、自分のために「カルピス」をつくった時よりも、お母さんやお父さんのためにつくった時のほうが、より多くのオキシトシンが分泌されることが分かりました。
大切な人(親)のために「カルピス」をつくるという一連の行為を通じて、子ども(未就学児)の心に「大切な人を想う“気持ち(愛情)”」が育まれることが示唆されました。
子どもが「カルピス」を一人でつくった場合と、他の人がつくる様子を見ていた場合の脳波をそれぞれ測定し、達成感を数値化しました。脳波解析※の結果から、他の人が「カルピス」をつくる様子を見ている時よりも、一人で「カルピス」をつくった時に、「できた!の気持ち(達成感)」が高まることが分かりました。