研究ノート

STUDY NOTE

なるほど!がいっぱい

研究ノート

アサヒ飲料では、みなさんの健康で豊かな毎日をサポートする商品を開発するべく、日々研究に取り組んでいます。ここでは、わたしたちの研究とその成果を、わかりやすくご紹介します。

Vol.6

3つの機能を持つ新たな「十六茶」を科学する!
~研究開発担当者インタビュー~

「十六茶」ブランド初の機能性表示食品。

2018年9月、「十六茶」ブランドに機能性表示食品「アサヒ からだ十六茶」が加わりました。
これまで「十六茶」ブランドには、「トクホ(特定保健用食品)」(以下「トクホ」)の「アサヒ 食事と一緒に十六茶W」がありましたが、同ブランドの「機能性表示食品」は初の試みです。
開発の背景には、商品の機能を明確に謳うための対応、葛の花由来イソフラボン特有の風味への対策、「十六茶」ブランドとしての味のこだわりなどがありました。今回の研究ノートでは、実際に開発に携わった担当者の声をお届けします。

*「トクホ(特定保健用食品)」と「機能性表示商品」の違い
「トクホ」は、機能性(期待できる効果)があるとして国に認められた食品です。一方、「機能性表示食品」は、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品です。

INTERVIEW 01

機能性を求めるお客様と
「アサヒ からだ十六茶」の橋渡し

アサヒ飲料(株)研究開発戦略部 宇野 恭史
アサヒ飲料(株)研究開発戦略部 宇野 恭史

アサヒ飲料(株)
研究開発戦略部
宇野 恭史

Q.「機能性表示食品」の届出はどんなお仕事?

私が担当している 「機能性表示食品」の届出では、マーケティングや商品開発の担当者と打ち合わせて相談し、パッケージに表示する文言や中身の情報を受け取り、制度に則っているかを確認、フィードバックすることで、中味表示の制度適合性と商品魅力度向上を両立するよう担当者と摺合せを行っています。

 届出を出せる段階になったら消費者庁の「機能性表示食品」のデータベースを介して届出をします。本制度は事業者責任において科学的根拠に基づき機能性を表示する事を届出る仕組みですが、そのためには事前に届出表示の根拠、分析方法の詳細、パッケージデザインの細かな表現などについて、細部までしっかりと検討を行う必要があります。そこで、社内の様々な部門と素早く認識の共有を図るため、合理的な根拠を分かりやすくまとめたり、必要であれば修正案を練ります。これを繰り返すことで、ようやく「機能性表示食品」として世の中に出すことができるのです。

アサヒ飲料(株)研究開発戦略部 宇野 恭史

Q.「アサヒ からだ十六茶」の機能性表示食品の届出で苦労した点は?

機能性関与成分以外の機能性を謳っているように見せないデザインや文言を、どのように調整するのかを関係部署と共に探っていったことが苦労した点です。
 特にデザインは主観的な要素もあり、表示可能な範囲の線引きが難しく、抽象度の高い議論になりがちですので、デザイン要素の整理や、課題の構造化を行い、社内での合意形成を得るための工夫を行いました。非常に気を遣う部分でもありますが、お客様に機能を正確にお伝えし、正しい商品選択をして頂くために必要な苦労だと思っています。

Q.保健機能食品の申請や届出をする仕事の醍醐味は?

保健機能食品の申請や届出をする私の仕事は、機能性を求めるお客様と商品の橋渡しとしての意義があると考えています。表示があることで、「アサヒ からだ十六茶」に機能性がある素材が使われていることをダイレクトに伝えることができます。

保健機能食品の届出・申請の制度は法律で定められていますが、法律では実際の細かな対応方法や解釈に幅のある部分が多数あります。そのため、最新のガイドラインの把握や他企業の対応事例や業界動向への感度を高くし常に最新の情報を入手しておくこと、機能を有する素材の知識を得ること、エビデンス(証拠)となる研究レビューや論文の理解を深めることも大切な業務と考えています。

 これからも、ルールに則りつつも、お客様により分かりやすく、より機能感が伝わる商品作りに貢献できるよう、がんばってまいります。

INTERVIEW 02

組み合わせのマジックで
葛の花由来イソフラボン後味を消す

アサヒ飲料(株)商品開発研究所 伊藤 遼
アサヒ飲料(株)商品開発研究所 伊藤 遼

アサヒ飲料(株)
商品開発研究所
伊藤 遼

Q.美味しい機能性表示食品をつくるのは難しい?

「アサヒ からだ十六茶」の味づくりをメインに担当しましたが、葛の花由来イソフラボンを含む素材である「葛の花エキス」は、飲料での使用実績が少なく、試行錯誤の連続でした。大豆イソフラボンをイメージしていただくと分かりやすいかもしれませんが、イソフラボンには特有のにおいや後味があり、お茶にしたときにネガティブに働きます。それを解消し、「十六茶」ブランドならではのすっきりとした味わいに仕立てることが、大きな課題でした。

最初に行ったのは、既存の「アサヒ 十六茶」に葛の花エキスを入れてみることです。複数の人に味見してもらったところそのままでは「飲みにくい」という評価でした。そこで、これまでの経験に基づき可能性がある茶葉と素材の組み合わせを50種類ほどつくり、それらから抽出したお茶を何度も混ぜ合わせてちょうどいいバランスを探していきました。そして最終的には、びわの葉やカワラケツメイなどを独自のバランスでブレンドすることで、葛の花由来イソフラボン特有のにおいや後味を抑えることに成功しました。

Q.葛の花由来イソフラボンを使うことになった理由は?

もともとは、「アサヒ 食事と一緒に十六茶W」の後継品となる商品を開発しようということでスタートしました。「アサヒ 食事と一緒に十六茶W」が持つ2つの機能性(食後の脂肪の吸収を抑える、食後の糖の吸収をおだやかにする)とは異なる機能性を求めて機能性素材の探索をする中で出合ったのが、葛の花エキスに含まれる葛の花由来イソフラボンだったのです。「十六茶」ブランドは、“健康的”というイメージを大切にしています。葛の花由来イソフラボンは、科学的な成分ではなく植物由来の素材のため、「十六茶」ブランドに入れる素材としても適していました。

現在、アサヒ飲料は健康領域に力を入れていることもあり、素材業者から情報を得たり、展示会に出向いたり、素材探索の機会をできるだけ設けるようにしています。マーケティングから届いた開発コンセプトや商品の課題に対して、的確な素材を提案できるかどうかも商品開発担当の腕の見せどころです。

Q.「機能性表示食品」の開発は一般的な飲料開発と違う?

「機能性表示食品」は、消費者庁に登録申請をしなくてはならないこともあり、一般的な食品よりもより多くの部署の人が関わります。限られた期間内で商品化するには、より連携を意識していくことが必要です。

 また、食品というものは日々変化していきます。飲料も完成後少しずつ香りが飛んでいきます。変わらずに安定している成分は、ほとんどありません。葛の花由来イソフラボンもお茶の中で、少しずつ分解されていってしまいます。今回開発した「アサヒ からだ十六茶」は「機能性表示食品」のため、お客様の方がどのタイミングで手に取られても、機能性関与成分がしっかりと入っていなくてはならないので、 葛の花由来イソフラボンの機能性が担保できる量の検討にも時間をかけました。

 「内臓脂肪を減らすのを助ける」機能性は、いつ飲んでも期待できますが、「食後の脂肪の吸収を抑える」「食後の糖の吸収をおだやかにする」の2つの機能性は食中もしくは直後に飲むことで効果が期待できます。脂肪分や糖分が多めな食事のタイミングなどで、ぜひ「アサヒ からだ十六茶」を飲んでください。

INTERVIEW 03

からだに嬉しい、
美味しい無糖茶を作りたい

アサヒ飲料(株)マーケティング一部 飯島 宙子
アサヒ飲料(株)マーケティング一部 飯島 宙子

アサヒ飲料(株)
マーケティング一部
飯島 宙子

Q.なぜ「トクホ」ではなく「機能性表示食品」?

アサヒ飲料は現在、“健康”をテーマとした商品の拡充に力を入れています。無糖茶ジャンルの中では、すでに「トクホ」の無糖茶としてアサヒ飲料は「アサヒ 食事と一緒に十六茶W」を販売し、多くの方にご愛飲いただいています。より幅広い層の方に、“からだに嬉しい「十六茶」”を届けられないか考えていたところ、2015年に「機能性表示食品」の仕組みが始まりました。

「機能性表示食品」は、パッケージなどに期待できる効果を記載できるため、消費者が視覚で効果を確かめ手に取ることができます。そこで、この新しい仕組みを使った「アサヒ からだ十六茶」の開発がスタートしました。

「トクホ」・「機能性表示食品」における機能性価値として、今は「内臓脂肪を減らすのを助ける」がブームになっています。そこで、「アサヒ 食事と一緒に十六茶W」にも持たせている「食後の脂肪の吸収を抑える」「食後の糖の吸収をおだやかにする」(ともに難消化性デキストリンの働き)の2つの機能性に、「内臓脂肪を減らすのを助ける」機能性を加えた3つの機能性を持つ「機能性表示食品」の「十六茶」を目指すことにしました。

「内臓脂肪を減らすのを助ける」機能性を持つ素材としては、葛の花由来イソフラボンを選択しました。葛は日本では葛餅や葛湯の材料として古くから食されている植物です。

Q.「アサヒ 十六茶」と入っている16種類の素材は違うの?

「十六茶」ブランドには、東洋健康思想に基づく健康16素材をブレンドした、カフェインゼロのすっきりとした飲みやすい美味しさという価値があります。この価値をベースにしながら、葛の花由来イソフラボンや難消化性デキストリンの独特な味わいを考慮して、素材の組み合わせ・配合量を変えています。飲んでいただくと、独特な風味を少し感じながらもすっきりとした「十六茶」ブランドならではの美味しさを楽しんでいただけると思います。
ちなみに、「アサヒ 十六茶」もお客様の嗜好の変化に合わせて、素材の組み合わせ・配合量を毎年少しずつ変えているんですよ。

Q.パッケージのデザインで苦労されたところは?

せっかく「機能性表示食品」ですので、機能性を目立つように表示したいものです。しかし、原材料名など必ず入れなくてはならない文字要素が多い中、伝えたいことはしっかり伝えつつ、「十六茶」のすっきりとした美味しさを印象づけるパッケージデザインにしなくてはなりません。表示要素に優先順位を付け、バランスよく配置するのに苦労しました。

 また、無糖茶ジャンルでの「機能性表示食品」の開発が初めてだったこともあり、「機能性表示食品」の届出時に、研究開発チームや「機能性表示食品」の届出対応チームと連携を取り、一つずつクリアしていきました。

RESEARCH SUMMARY

研究のまとめ

 「アサヒ からだ十六茶」はおよそ3年かけて中味の開発とパッケージに表示する情報の調整を行い、2017年の10月に「機能性表示食品」として申請し、ようやく2018年の9月に発売にいたりました。からだの変化が気になりはじめた40〜50代の男性を中心に、多くの方に飲んでいただけると嬉しいです。

注)組織名、商品名、商品画像は掲載時(2018年9月)のものです

RESEARCH LIBRARY

研究ノート ライブラリー